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ゴムの耐熱性、耐寒性

ゴムの耐熱性

ゴムの耐熱性については、下記の3つの点に分けて考えられます。

  1. 耐熱温度
     比較的短時間で、何度まで耐え得るかという最高限界温度
  2. 使用耐熱温度
     連続使用が可能な使用安全耐熱温度
  3. 耐熱老化性と温度の関係
     長時間使用し熱によって老化を促進されることに抵抗する性質と温度に関係

 ゴムの耐熱性は、基本的に分子構造に左右されます。ゴム分子主鎖と架橋(加硫)部分の切断による熱劣化現象が主です。主鎖に二重結合を含むジエン系ゴムは、耐熱性がなく、二重結合が少ないかあるいは、含まないゴムは、耐熱性が優れています。また、同じゴムの種類でも、配合によっても変わります。たとえば、加硫系では、硫黄加硫は、無硫黄加硫よりも耐熱性が劣ります。

ゴムの耐寒性

ゴムは、常温においては、弾性に富んだ物性を持っていますが、低温になると次第に硬くなります。
ゴムの耐寒性と言う場合、ゴムの硬化、つまりゴムとしての一番の役割の弾性がなくなることですが、下記の3つの点に分けて考えられます。

  1. 単純な温度効果によるゴムの硬化
  2. ガラス転移点(Tg)での硬化とぜい化(もろくなること)
  3. 結晶化傾向のあるゴムの結晶化による硬化

ゴムは、一般にガラス転移点(Tg)以下では、ガラス状になりゴムとしての機能を失います。ガラス転移点の低いシリコーンゴムやBRは、耐寒性に優れています。また、耐寒性は、ゴム分子の柔軟性(ゴム分子が低温領域でどれだけ自由に動けるかどうか)によって決まってきます。分子間の凝集力が強い場合(極性が大きい)ゴム分子の運動性が悪く柔軟性が損なわれます。

SP値参考:ゴムと耐油性のページ

おなじNBRでも、アクリルニトリル含有量が高いNBRほど、耐油性はありますが、耐寒性は劣ります。


極性とガラス転移点(Tg)で計れないもの

IIR(ブチルゴム)

分子に分岐などがあると、分子が動きにくいため柔軟性が劣ります。IIRは、メチル基がたくさんあるので分子が動きにくく、SP値のわりには、Tgが高くなっています。

BR(ブタジエンゴム)

IIRと反対に分子の側鎖をもたないBRは、分子が動きやすいので、SP値のわりにTgが低くなっています。

CR(クロロプレンゴム)やNR(天然ゴム)

結晶性のあるCRやNRは、低温下では、Tgのわりに柔軟性がありません。



各種ゴムの耐熱限界温度、耐熱安全温度、耐寒限界温度

ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、その他。

ゴムの種類 略号 耐熱限界温度
耐熱安全温度
耐寒限界温度
ニトリルゴム NBR 120 80 -50
水素化ニトリルゴム HNBR 140 110 -30
フッ素ゴム FKM 230 200 -15
シリコーンゴム VMQ 230 180 -50
エチレンプロピレンゴム EPDM 140 120 -40
クロロプレンゴム CR 110 70 -40
アクリルゴム ACM 160 140 -20
ブチルゴム IIR 140 110 -40
ウレタンゴム U 100 70 -30
クロロスルフォン化ポリエチレンゴム CSM 130 100 -30
エピクロルヒドリンゴム CO,ECO 130 100 -30
天然ゴム NR 80 65 -50
フッ素樹脂(参考) PTFE 260 250 -100

(注意)この特性一覧表は、あくまで目安としての参考値ですので保証するものではありません。
実際のご使用は、試験片などによる実用試験でご確認の上ご使用ください。


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