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フッ素樹脂の種類(テフロンの種類)PTFE,PFA,FEPなど

アメリカで開発されたフッ素樹脂が、我が国に入った当初は、高価な材料のため他の樹脂に比べて量的に少ないものでしたが、1980年代以降、その優れた性能が広く認識され国内供給量も順調な伸びをみせています。それと併行して、フッ素樹脂の種類は増え、フッ素ゴムなども加わり、品種、量とも広がっています。
それらの中でもフッ素樹脂の代表ともいうべきPTFEは、米国デュポン社によって発見されたことから、デュポン社のフッ素樹脂の商標であった「テフロン」が、今ではフッ素樹脂の代名詞的存在となって世間に広く知れ渡っています。現在、テフロンはデュポン社より分離独立したケマーズ社の商標となっています。
現在、このPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)が市場に出回るフッ素樹脂の需要の多くを占め、その他は、溶融成形が可能な溶融フッ素樹脂のPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体),FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体,ETFE(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体),PVDF(ポリビニリデンフルオライド),PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン),ECTFE(クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体)などがあります。
以前、フッ素樹脂の各種を言い表すのに「4フッ化」「3フッ化」「2フッ化」「4.6フッ化」「1フッ化」と使用することもありましたが、現在では、それぞれ順にPTFE、PCTFE、PVDF、FEP、PVFと符号を使用することが一般的になっています。

PTFE

《名称》四フッ化エチレン樹脂(4フッ化)
《化学名》ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoroethylene,PTFE,TFE)
《商品名》テフロンPTFE(ケマーズ)、ポリフロンPTFE(ダイキン工業)、フルオンPTFE(旭硝子)、ダイニオンPTFE(3M)、アルゴフロンPTFE(Solvay)

PTFEは、フッ素樹脂の代表ともいえる樹脂で、期待される耐薬品性、耐熱性は最も優れ、一般にフッ素樹脂(テフロン)と呼ぶ場合、このPTFEを指すことが多く、生産量、使用量ともにフッ素樹脂の中で最も多くを占めています。
PTFEは、懸濁重合品と乳化重合品があり、懸濁重合品はモールディングパウダーと呼び、乳化重合品は粉末化したものをファインパウダー、界面活性剤を加えて濃縮したものをディスパージョンおよびとエナメルと呼んでいます。
主に、モールディングパウダーはシートやパイプ等の加工用素材の圧縮成形用,ラム押出用原料として、ファインパウダーは電線被覆や押出しチューブ等のペースト押出用原料として、ディスパージョンおよびエナメルはガラスクロスへの含浸,コーティング用途の材料として使用されます。
PTFEのモールディングパウダーやファインパウダーには、ガラスファイバー,カーボンファイバー,ブロンズ等の充填材を混合し、PTFEの欠点である硬度,耐クリープ性,耐摩耗性を向上させたものもあります。
フッ素樹脂は他のプラスチックと同様に成形できるものがほとんどですが、このPTFEに関しては、熱溶融しないため、粉末冶金に似た方法で成形されます。
耐熱性、耐薬品性、電気特性、非粘着性、自己潤滑性に優れています。

《用途》
・パッキン、ガスケット、軸受け、シートライニング材、ベルト、シート、チューブ、ホース、ロッド、電気部品、ネジシール用生テープ、パイプライナー、電線被覆材、コーティングなど
・ガラスクロス、カーボンクロス等にPTFEを含浸または塗布させ、潤滑性・非粘着をもたせたシートや、それを利用したベルト等
・PTFEにガラスファイバー、カーボンファイバー、グラファイト、ブロンズ等の充てん材を添加することによって、機械特性、圧縮特性、耐摩耗性を向上させて、その素材を利用した機械部品や摺動材等

PFA

《名称》四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(四フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂)
《化学名》パーフルオロアルコキシアルカン(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)(Perfluoro alkoxy alkane,PFA)
《商品名》テフロンPFA(ケマーズ)、ネオフロンPFA(ダイキン工業)、フルオンPFA(旭硝子)、ダイニオンPFA(3M)、アルゴフロンPFA(Solvay)

PFAはPTFEの加工性を改良するために開発され、射出成形,押出し成形などの溶融加工,成形ができます。PFAはPTFEの場合に存在する室温転移点がなく、PTFEに勝るとも劣らない機械的,化学的,電気的諸性能を持っており、高温時での弾性率・耐クリープ性などではPTFEより優れている一面もあります。
連続使用温度が250℃でも機械的性質がかなりすぐれ、耐熱性のほか、耐薬品性、非粘着性、低摩擦性、耐屈曲性などが優れています。
PFAはフィルムのような薄い成形品の場合、無色で透明性がありますが、厚い製品になると半透明になります。
PFAには大別して通常品と高純度品があり、高純度品は化学的,熱的に安定化させたり金属不純物を極力削減したもので、多くは半導体,液晶向けなどで使用されています。

《用途》
チューブ、ホース、継ぎ手、容器、フィルム、コーティング、ライニング、電線被覆材、半導体関連製品など

FEP

《名称》四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合樹脂(4.6フッ化)
《化学名》パーフルオロエチレンプロペンコポリマー(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体)(Perfluoro ethylene propylene copolymer,Tetrafluoroethylene hexafluoropropylene copolymer,FEP)
《商品名》テフロンFEP(ケマーズ)、ネオフロンFEP(ダイキン工業)

FEPはPTFEの加工性を改良するために開発され、射出成形,押出し成形などの溶融加工,成形ができます。
FEPは連続使用温度が200℃程度でPTFEやPFAよりも耐熱性に劣りますが、PTFEの場合に存在する室温転移点がなく、PTFEと同様に優れた耐熱耐寒性,耐食性,低摩擦性,電気的特性を持っています。
FEPはフィルムのような薄い成形品の場合、無色で透明性がありますが、厚い製品になると半透明になります。

《用途》
チューブ、配管材料、電線被覆材、コーティング、ライニング、電気部品、パッキン、ガスケットなど

ETFE

《名称》四フッ化エチレン・エチレン共重合樹脂(エチレン四フッ化エチレン共重合樹脂)
《化学名》エチレン・テトラフルオロエチレンコポリマー(Ethylene-tetrafluoroethylene,ETFE)
《商品名》テフゼルETFE(ケマーズ)、ネオフロンETFE(ダイキン工業)、フルオンETFE(旭硝子)

ETFEは、融点270℃の溶融加工・成形が可能な樹脂で、PTFE,PFA,FEPより耐熱性,耐薬品性に少し劣りますが、力学的に強靭で、耐クリープ性が良く機械的特性がPTFE、PFA、FEPより優れており、電気絶縁性、耐放射線性、耐薬品性、低温特性なども合わせ諸特性のバランスの良い樹脂です。

《用途》
電線被覆材、チューブ、コーティング、ライニング、フィルムなど

PVDF

《名称》フッ化ビニリデン樹脂(2フッ化)
《化学名》ポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride,PVDF)
《商品名》ネオフロンPVDF(ダイキン工業)、KFポリマー(クレハ)、ソレフPVDF・ハイラーPVDF(Solvay)

PVDFは、機械的に強靭で、特に引張り強さ、圧縮強さに優れ、耐候性、耐薬品も良く、溶融加工・成形が可能です。機械的性質は、フッ素樹脂の中でも抜群の特性を持っていますが、極性溶剤に対して侵されやすく、酸化性の強い雰囲気に弱く、PTFE,PFA,FEPなどのパーフルオロ系の樹脂に比べて耐薬品性は劣りますので、使用において注意が必要です。

《用途》
バルブ、ポンプ、化学装置部品、電気絶縁部品、コーティング、ライニングなど

PCTFE

《名称》三フッ化塩化エチレン樹脂(3フッ化)
《化学名》ポリクロロトリフルオロエチレン(Polychlorotrifluoroethylene,PCTFE)
《商品名》ネオフロンPCTFE(ダイキン工業)

PCTFEは、常温の機械的特性、低温の寸法安定性、耐衝撃性に優れており、耐食性も良い樹脂で、透明性の要求される箇所にも使用されます。ただし、機械的特性などは温度によって大きく左右されます。
PCTFEの耐薬品性は、PTFEに比べてやや劣りますが、他の樹脂に比べれば非常に優れています。また、紫外線によってほとんど劣化せず耐候性,耐放射線性に優れ、あらゆる樹脂の中で最も小さい水蒸気透過性を示し、多くのガスの透過性も非常に小さい特性があります。
医薬品用フィルムや、低温特性を生かした用途を生かして液体酸素・窒素,液化天然ガスなどに接するバルブ,シール,コンプレッサー,ポンプなどの部材に使用されています。

《用途》
高圧用パッキン、高圧用ガスケット、機械部品、耐食用部品、のぞき窓、コーティング、ライニング、耐食包装フィルムなど

ECTFE

《名称》三フッ化塩化エチレン・エチレン共重合樹脂
《化学名》クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体(Chlorotrifluoroethylene ethylene copolymer,ECTFE)
《商品名》ヘイラーECTFE(Solvay)

現在、国内ではあまり使用されていませんが、化学的特性や機械的特性等に優れており、溶融加工・成形が出来る性能バランスのとれた樹脂です。
ECTFEはフッ素樹脂の中では、硬さ,弾性率がPVDF,PCTFEとともに最も大きく、PVDF,PCTFEに比べると衝撃強さが大きいため、強さの必要な各種部品に適した材料です。

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