テフロンは、乳白色ロウ状の樹脂で、棒状にすれば硬く、薄い板にすれば甚だ屈曲性にとんだゴムと金属の中間的物性です。
他の合成樹脂と比較して、全く特異な性状を持っており、したがってその用途もきわめて広範囲であります。他の合成樹脂との比較を次頁に記しましたが、その中でも特に優れた性質を示しますと下記の通りです。
各種フッ素樹脂
PTFE=ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)
PFA=テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
FEP=テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)
ETFE=テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体
PVDF=ポリビニリデンフルオライド(2フッ化)
PCTFE=ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)
テフロンの最大特徴はその耐化学薬品性にあります。いかなる酸およぴアルカリ、有機薬品に対しても全く安定していて、侵されたり膨潤したりすることがありません。ただ、高温高圧下の弗素ガスおよび弗素化合物、ならびに熔融アルカリ金属にわずかに侵されるだけであり、耐薬品パッキングとしては他の追随を許しません。
耐オゾン性も良好で、耐候性についても十年間の曝露試験に対して全く変化のないことが報告されております。吸湿性、吸水性も0.00%であります。化学工業から始まって広範囲な用途に使用されているのも、この特性がベースになっているためです。
PTFE ほとんどの化学薬品に対して非常に安定した性質をもっており、わずかに溶融アルカリ金属やそれらの溶液及び高温のふっ素、三フッ化塩素などに侵される。
PFA PTFEにほぼ同じ
FEP PTFEにほぼ同じ
ETFE PTFEにほぼ同じであるが濃硝酸に侵される。
PCTFE PTFEに比べてやや劣る。溶融アルカリ金属、高温のふっ素、三フッ化塩素に侵されるほか、高温で塩素ガスやアンモニアガスにも若干侵される。さらに、特殊なハロゲン化有機溶剤には高温で膨潤ないし溶解する。
PVDF 発煙硫酸、100℃以上の苛性ソーダに分解、アセトン、酢酸エチル、DMF、ケトン、エステル、環状エーテル、アミド類には膨潤ないし溶解する。
テフロンはその構造の対称性からも明らかな様に無極性であって、誘電率、力率共に温度、周波数に関係なく一定できわめて低く、絶縁抵抗や絶縁破壊の強さもプラスチック中最高であります。たとえば、高温のなかで、15,000〜20,000ボルトの高電圧の下に使用しても高い絶縁抵抗を示し、強い耐熱性、耐候性および非吸湿性と相まって非常に優れた電気絶縁材料として電気、電子部門での有用性を高めております。
テフロンの耐熱性もまたプラスチック中最高で−100℃〜+260℃の広い温度範囲にわたって長時間の使用に耐えることができます。また、用途、用法によってはさらに高温および低温の使用にも耐えることが確認され、特に低温では−196℃の液体窒素に使用しても常温と同じ摩擦係数を示しております。テフロンの融点は327℃であって、これ以上の温度ではゲル状態となって機械的性質は急激に変化します。分解開始温度は390℃位からであって、それまでの温度ではたとえ融点をこして加熱しても形はくずれず、常温に戻せばそのままの形で劣化は認められません。
テフロンの摩擦係数は非常に低く、氷以上であります。また、動摩擦係数よりも静摩擦係数の方が低く、高荷重、低速ではグラファイト、二硫化モリブデン等の他のいかなる固体潤滑剤よりも低い摩擦係数(0.04)を示します。
グラスファイバー、固体潤滑剤、酸化物等の併用によって、耐摩耗性も良好となり、オイルレスピストンリングおよびドライベアリング等として優秀な成績をおさめています。
テフロンの低い摩擦係数は充填剤の使用によって更に一段と優れた機械的性質を示します。
切削性はきわめて良好で、切削加工は容易であります。ただし、温度による膨脹、収縮は金属より遥かに大でありますから、加工の際の寸法公差は使用時の温度条件を基準に考えねばなりません。また、必要以上に小さな公差を附することは、使用時の温度の変化からも無意味であります。
PTFEは一般の樹脂と同レベルの熱膨張係数を示しますが、23℃付近に特有の転移点が存在し、寸法変化が大きくなるので注意が必要です。



