パッキン、テフロン、Oリング、フッ素樹脂、オイルシール、ゴムのパッキンランド

テフロン®フッ素樹脂の特性

テフロンは、乳白色ロウ状の樹脂で、棒状にすれば硬く、薄い板にすれば甚だ屈曲性にとんだゴムと金属の中間的物性です。代表的なPTFEをはじめフッ素樹脂・テフロンは分子構造に強固なC-F結合をもつ高分子重合体で、その分子構造により耐薬品性、耐熱性、電気特性がきわめて優れた樹脂です。
他の合成樹脂と比較して、全く特異な性状を持っており、したがってその用途もきわめて広範囲です。他の合成樹脂と比べて特に優れた性質を示しますと下記の通りです。

各種フッ素樹脂

PTFE=ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)
PFA=テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
FEP=テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)
ETFE=テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体
PVDF=ポリビニリデンフルオライド(2フッ化)
PCTFE=ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)

テフロン・フッ素樹脂の種類

テフロン®耐化学薬品性

テフロンの最大特徴はその耐化学薬品性にあります。PTFEは、いかなる酸およぴアルカリ、有機薬品に対しても全く安定していて、侵されたり膨潤したりすることがありません。ただ、高温高圧下の弗素ガスおよび弗素化合物、ならびに熔融アルカリ金属にわずかに侵されるだけであり、耐薬品パッキンとしては他の追随を許しません。
耐オゾン性も良好で、耐候性についても十年間の曝露試験に対して全く変化のないことが報告されております。吸湿性、吸水性も0.00%であります。化学工業から始まって広範囲な用途に使用されているのも、この特性がベースになっているためです。


各種テフロン、フッ素樹脂の耐化学薬品特性

 PTFE ほとんどの化学薬品に対して非常に安定した性質をもっており、わずかに溶融アルカリ金属やそれらの溶液及び高温のふっ素、三フッ化塩素などに侵される。
 PFA PTFEにほぼ同じ
 FEP PTFEにほぼ同じ
 ETFE PTFEにほぼ同じであるが濃硝酸に侵される。
 PCTFE PTFEに比べてやや劣る。溶融アルカリ金属、高温のふっ素、三フッ化塩素に侵されるほか、高温で塩素ガスやアンモニアガスにも若干侵される。さらに、特殊なハロゲン化有機溶剤には高温で膨潤ないし溶解する。
 PVDF 発煙硫酸、100℃以上の苛性ソーダに分解、アセトン、酢酸エチル、DMF、ケトン、エステル、環状エーテル、アミド類には膨潤ないし溶解する。


テフロン®電気的特性

テフロンはその構造の対称性からも明らかな様に無極性であって、誘電率、力率共に温度、周波数に関係なく一定できわめて低く、絶縁抵抗や絶縁破壊の強さもプラスチック中最高であります。たとえば、高温のなかで、15,000~20,000ボルトの高電圧の下に使用しても高い絶縁抵抗を示し、強い耐熱性、耐候性および非吸湿性と相まって非常に優れた電気絶縁材料として電気、電子部門での有用性を高めております。


テフロン®耐熱特性

テフロンの耐熱性もまたプラスチック中最高でPTFEは-100℃~+260℃の広い温度範囲にわたって長時間の使用に耐えることができます。また、用途、用法によってはさらに高温および低温の使用にも耐えることが確認され、特に低温では-196℃の液体窒素に使用しても常温と同じ摩擦係数を示しております。テフロン(PTFE)の融点は327℃であって、これ以上の温度ではゲル状態となって機械的性質は急激に変化します。分解開始温度は390℃位からであって、それまでの温度ではたとえ融点をこして加熱しても形はくずれず、常温に戻せばそのままの形で劣化は認められません。


テフロン®自己潤滑特性

テフロンの摩擦係数は非常に低く、氷以上であります。また、動摩擦係数よりも静摩擦係数の方が低く、高荷重、低速ではグラファイト、二硫化モリブデン等の他のいかなる固体潤滑剤よりも低い摩擦係数(0.04)を示します。
 グラスファイバー、固体潤滑剤、酸化物等の併用によって、耐摩耗性も良好となり、オイルレスピストンリングおよびドライベアリング等として優秀な成績をおさめています。


PTFEの摺動特性

テフロンPTFEは、非粘着性・低摩擦性を持っているため、摺動材として使用されることがよくあります。しかしながら樹脂の中でも磨耗しやすく、相手材によって磨耗の程度は異なります。相手材が柔らかいもの程、PTFEの磨耗が大きくなります。柔らかい相手材は、荒れやすいため、磨耗しやすくなりますが、硬くても鏡面のような表面の場合は磨耗が大きくなります。テフロンPTFEの特性として、摺動する際に、相手の表面にPTFEが移行することによって、テフロン同士の磨耗と同じような効果がでます。表面が滑らかな場合、その移行がうまくいかず逆に磨耗が大きくなる場合があります。
いずれにしてもPTFEは、磨耗しやすく、クリープを起こしやすいため、摺動材として使用する場合は、充填材入りPTFEを選択することが多くなっています。
充填材入りテフロン(PTFE)

テフロン®機械的特性

テフロンの低い摩擦係数は充填剤の使用によって更に一段と優れた機械的性質を示します。
切削性はきわめて良好で、切削加工は容易であります。ただし、温度による膨脹、収縮は金属より遥かに大でありますから、加工の際の寸法公差は使用時の温度条件を基準に考えねばなりません。また、必要以上に小さな公差を附することは、使用時の温度の変化からも無意味であります。

PTFEは一般の樹脂と同レベルの熱膨張係数を示しますが、23℃付近に特有の転移点が存在し、寸法変化が大きくなるので注意が必要です。


フッ素樹脂テフロンの圧縮応力フッ素樹脂テフロンの温度膨張曲線フッ素樹脂テフロンの摩擦係数と摺動速度フッ素樹脂テフロンの絶縁耐力と温度
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テフロン、フッ素樹脂の一般特性一覧表

PTFEやPFA等の各種フッ素樹脂テフロンの一般的な特性、物理的特性・機械的特性・熱的特性・低温特性・電気的特性・耐久性など。

物理的特性

各種フッ素樹脂・テフロンの物理的特性、融点・密度などの一般的な数値。

フッ素樹脂・特性 単位・条件 PTFE PFA FEP PCTFE ETFE ECTFE PVDF
融点 327 310 260 220 270 245 151-178
密度 g/cm3 2.13-2.20 2.12-2.17 2.15-2.17 2.10-2.20 1.73-1.74 1.68-1.69 1.75-1.78

試験方法

特性 JIS 対応ISO ASTM
融点 K6935 12086 D4591
密度 K7112 1183 D792

機械的特性

各種フッ素樹脂・テフロンの機械的特性、引張強さ・伸び・圧縮強さ・衝撃強さ・硬さ・弾性率・摩擦係数などの一般的な数値。

フッ素樹脂・特性 単位・条件 PTFE PFA FEP PCTFE ETFE ECTFE PVDF
引張強さ MPa 20-35 25-35 20-30 31-41 38-42 41-48 30-70
伸び % 200-400 300-350 250-330 80-250 300-400 200-300 20-370
圧縮強さ MPa
(10%変形)
10-15 15-20 14-19 31-51 40-50 35-40 32-74
アイゾット衝撃強さ J/m 150-160 破壊せず 破壊せず 135-145 破壊せず 破壊せず 160-375
ロックウェル硬さ (Rスケール) R20 R50 R50 R80 R50 R50 R93-116
ショアー硬さ (Dスケール) D50-55 D62-66 D60-65 D75-80 D67-78 D53-57 D64-79
曲げ弾性率 GPa 0.53-0.58 0.54-0.64 0.55-0.67 1.25-1.79 0.90-1.20 0.66-0.69 0.60-1.99
引張弾性率 GPa 0.40-0.60 0.31-0.35 0.32-0.36 1.03-2.10 0.70-0.85 1.55-1.70 0.37-2.58
動摩擦係数 (0.69MPa,
3m/min)
0.1 0.2 0.3 0.4 0.4 0.4 0.4

試験方法

特性 JIS 対応ISO ASTM
引張強さ K7162 527 D638
伸び K7162 527 D638
圧縮強さ K7181 604 D695
アイゾット衝撃強さ K7110 180 D256
ロックウェル硬さ K7202 2039 D785
ショアー硬さ K7215 2039 D2240
曲げ弾性率 K7171 178 D790
引張弾性率 K7162 527 D638
動摩擦係数 K6935   D1894

熱的特性

各種フッ素樹脂・テフロンの熱的特性、熱伝導率・比熱・線膨張係数・最高使用温度などの一般的な数値。

フッ素樹脂・特性 単位・条件 PTFE PFA FEP PCTFE ETFE ECTFE PVDF
熱伝導率 W/m・K 0.23 0.19 0.2 0.22 0.24 0.16 0.17
比熱 103J/kg・K 1.0 1.0 1.2 0.9 2.0 2.0 1.2
線膨張係数 10-5/℃ 10 12 9 6 6 8 16
ボールプレッシャー温度 180 230 170 170 185 180 150
荷重たわみ温度 ℃(1.81MPa) 55 47 50 90 74 77 100
℃(0.45MPa) 120 74 72 126 104 116 156
最高使用温度(連続) 260 260 200 120 150 150 150

試験方法

特性 JIS 対応ISO ASTM
熱伝導率 A1412 8302 C177
比熱 K7123    
線膨張係数     D696
ボールプレッシャー温度 電気用品に用いられる熱可塑性プラスチックの
ボールプレッシャーの登録制度に関する報告書準拠
荷重たわみ温度 K7191 75 D648
最高使用温度(連続) K7226 2578  

PTFE,PFA,FEPの各温度における線膨張係数、線膨張率

テフロンの線膨張率は鉄の約10倍、アルミニウムの約4倍と大きく、またテフロンPTFEは23℃付近で転移点があり、体積が約1%変化します。この転移点の上下で明らかな寸法変化が生じるため注意する必要があります。 テフロンPFA、FEPは、PTFEのような室温における特異な転移点はありません。

PTFE
温度範囲(℃) ×10-5/℃
25~300 21.8
~250 17.5
~200 15.1
~150 13.5
~100 12.4
~ 50 12.4
~ 30 16
~ 20 79
~ 0 20
~- 50 13.5
~-100 11.2
~-150 9.6
~-190 8.6
(10~20) (16)
PTFEとFEPの線膨張率のグラフ
PFA FEP
温度範囲(℃) ×10-5/℃ 温度範囲(℃) ×10-5/℃
150~210 20 200 32.4
100~150 17 100 16.2
20~100 12 70 10.6
23~-180 11.5 70~-70 8.3

低温特性

テフロンは、低温においても優れた機械的性質をもっています。また、他の樹脂と同様に低温になるにつれ剛性は増し、伸びは小さくなります。

PTFE,PFA,FEPの低温特性

性質 温度(℃) PTFE PFA FEP
引張強さ(破断時)
(MPa)
-253 120 - 160
-196 100 130 120
-129 63 - 83
-79 40 - 45
25 29 29 27
引張強さ(降伏点)
(MPa)
-253 120 - 160
-196 91 130 130
-129 53 - 78
-79 32 - 38
25 12 15 14
伸び
(%)
-253 3 - 5
-196 7 8 7
-129 13 - 15
-79 31 - 33
25 200 260 350
引張弾性率
(GPa)
-253 4.3 - 5.0
-196 3.2 - 4.0
-129 2.1 - 3.3
-79 1.4 - 2.1
25 0.6 - 0.5
曲げ強さ
(MPa)
-253 198 - 254
-196 181 - 187
-129 106 - 141
-79 48 - 67
25 26 - 20
曲げ弾性率
(GPa)
-253 5.1 - 5.3
-196 4.7 5.8 4.7
-129 3.1 - 3.9
-79 1.6 - 2.3
25 1.2 0.6 1.4
アイゾット衝撃強さ
(ノッチ)
(J/m)
-253 75 - 98
-196 70 64 92
-129 - - -
-79 80 - 480
25 100 破壊せず 破壊せず
圧縮強さ
(MPa)
-253 220 - 250
-196 145 410 210
-129 110 - 160
-79 51 - 91
25 25 25 11
圧縮弾性率
(GPa)
-253 6.2 - 7.0
-196 5.5 4.7 6.3
-129 4.0 - 5.1
-79 2.0 - 2.6
25 0.7 0.7 0.6

低温におけるPTFE,FEPの収縮率、PFAの線膨張係数

温度(℃) -79 -129 -183 -196 -253
PTFE 1.5 1.9 2.0 2.1 2.1
ガラスファイバー25%入りPTFE(MD) 0.6 0.8 0.9 0.9 0.9
ガラスファイバー25%入りPTFE(CD) 1.0 1.2 1.5 1.5 1.7
FEP 1.1 1.4 1.5 1.6 1.7
(参考:銅) 0.2 0.2 0.3 0.3 0.3
(参考:アルミニウム) 0.2 0.3 0.4 0.4 0.4
PFA 温度範囲(℃) 線膨張率×10-5/℃
-180~-75 9.9
-75~-15 12.0
-180~+23 11.5

 

電気的特性

各種フッ素樹脂・テフロンの電気的特性、体積抵抗率・絶縁耐力・比誘電率・誘電正接・耐アーク性などの一般的な数値。

フッ素樹脂・特性 単位・条件 PTFE PFA FEP PCTFE ETFE ECTFE PVDF
体積抵抗率 Ω・cm
(50%RH,23℃)
>1018 >1018 >1018 >1018 >1017 >1015 >1015
絶縁耐力(短時間) MV/m
(3.2mm厚)
19 20 22 22 16 20 11
比誘電率 (60Hz) 2.1 2.1 2.1 2.6 2.6 2.6 8.4
(103Hz) 2.1 2.1 2.1 2.6 2.6 2.6 7.7
(106Hz) 2.1 2.1 2.1 2.6 2.6 2.6 6.4
誘電正接 (60Hz) 0.0002 0.0002 0.0002 0.0012 0.0006 0.0005 0.049
(103Hz) 0.0002 0.0002 0.0002 0.025 0.0008 0.0015 0.018
(106Hz) 0.0002 0.0003 0.0005 0.02 0.005 0.015 0.017
耐アーク性 s >300 >300 >300 >300 75 18 60

試験方法

特性 JIS IEC ASTM
体積抵抗率 K6911 60093 D257
絶縁耐力(短時間) K6935 60243 D149
比誘電率 K6935 60250 D150
誘電正接 K6935 60250 D150
耐アーク性     D495

耐久性・その他の特性

各種フッ素樹脂・テフロンの耐久性及びその他の特性、吸水率・燃焼性・限界酸素指数・直射日光・耐薬品性などの一般的な数値。

フッ素樹脂・特性 単位・条件 PTFE PFA FEP PCTFE ETFE ECTFE PVDF
吸水率 %(24h) 0.01 0.01 0.01 0.01 0.03 0.01 0.03
燃焼性 (3.2mm厚) V-0 V-0 V-0 V-0 V-0 V-0 V-0
限界酸素指数   >95 >95 >95 >95 32 60 43
直射日光の影響   なし なし なし なし なし なし なし
耐薬品性 超優秀 超優秀 超優秀 優秀 優秀 優秀 優秀
アルカリ 超優秀 超優秀 超優秀 優秀 優秀 優秀
有機溶剤 超優秀 超優秀 超優秀 優秀 優秀

超優秀:ほとんどの薬品、溶剤に過酷な条件下でも侵されない
優秀:一部の薬品、溶剤には特定の条件下では使用を留意する必要がある
良:一部の溶剤に溶ける
秀:使用する薬品、溶剤、使用条件を詳細に検討する必要がある

試験方法

特性 JIS 対応ISO ASTM
吸水率 K7209 62 D570
燃焼性 K7140 1210 UL-94
限界酸素指数 K6935 4589 D2863
耐薬品性     D543

テフロン、フッ素樹脂特性比較一覧表

各種フッ素樹脂
PTFE=ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)
PFA=テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体
FEP=テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)
ETFE=テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体
PVDF=ポリビニリデンフルオライド(2フッ化)
PCTFE=ポリクロロトリフルオロエチレン(3フッ化)
ECTFE=クロロトリフルオエチレン・エチレン共重合体


記号の意味 ◎:非常に優れている ○:優れている △:やや劣る ×:劣る

特性について

樹脂 特性 PTFE FEP ETFE PFA PCTFE PVDF 6ナイロン ポリプロピレン 硬質
ポリ塩化
ビニル
耐熱性
(常用温度℃)
260 200 150 260 150 150 80~120 100~120 60
電気的特性
難燃性
(O.I.%)
95< 95< 30 95< 95 43 24 18 45
機械的特性
低摩擦性
耐薬品性 ×
アルカリ ×
溶剤 ×
非接着性 × ×
耐候性 × × ×
透明性
成形性
比重 2.17 2.15 1.73 2.15 2.13 1.76 1.13 0.90 1.35


テフロン各種充填材入りPTFE(フッ素樹脂)

フッ素樹脂PTFEは、樹脂の中で最も優れた耐薬品性、耐溶剤性、耐油性を持っており、また-100℃~260℃までの広範な温度領域にわたって使用が可能なため、様々な分野で使用されています。ただ様々な用途に耐えうるだけの樹脂として強度はありますが、機械的特性は他の樹脂に比べて特に優れているわけではありません。純PTFEの機械的性質を改善するため目的に応じて各種充てん材を入れます。充填材入りの最大の特徴は、磨耗係数は純PTFEより高くなることを差し引いたとしても磨耗特性が向上することです。この特性を利用した用途が多くなっています。電気的特性は、一般的に純PTFEより劣ります。特にブロンズ、グラファイト入りは導電性に近くなります。

各種充填材入りPTFEの特性一覧表

グラスファイバー(ガラス繊維), カーボンファイバー(炭素繊維)

テフロン各種充填材入りPTFE(フッ素樹脂)の特徴

充填材は、テフロン(PTFE)の優れた特性(耐薬品性、耐熱性、自己潤滑性等)への影響を最小限に、機械特性(耐摩耗性、耐クリープ性等)や帯電低減などを目的に混合されます。その目的によって、PTFEにガラス繊維(ガラスファイバー)、カーボン繊維(カーボンファイバー)などの繊維状充填材、カーボン、グラファイトなどの粒子状充填材、ブロンズ、二硫化モリブデンなどの金属化合物充填材、全芳香族ポリエステル樹脂などの樹脂充填材などを1種類か複数の組み合わせで使用され、耐磨耗性、耐クリープ性、熱膨張、剛性など大きく改善されます。充填材の種類、目的によって、容量で充填材の特性が出る10%程度からテフロン樹脂自体の機械強度を損なわない40%程度まで混合されます。

PTFEに充てん材を入れることによって改善される性質

充填材の種類 改善される性質 その他
グラスファイバー
(ガラス繊維)
耐摩耗性、電気的特性 強アルカリやフッ酸には、フィラーが侵される。
水中磨耗に弱い。
グラファイト 耐クリープ性、
摩擦摺動部の始動時磨耗、
摺動部の耐荷重性、静電防止効果
充填材を使用する中では耐薬品性に適合する。
ブロンズ 熱伝導性、機械的強度、硬度、
寸法安定性、耐クリープ性
熱伝導率が高くなるが、
電気的特性は著しく低下する。
カーボンファイバー
(炭素繊維)
耐摩耗性、圧縮強度、
耐クリープ、静電防止効果
水中での耐摩耗性が良い。
曲げ強度が大きい。
二硫化モリブデン 硬度、剛性、耐摩耗性 他の充填材と組み合わせることが多い。
特殊フィラー 耐摩耗性、安定した摺動特性、
圧縮特性


純PTFE・グラスファイバー入りPTFEの特性一覧表

純PTFEと各種充てん材(グラスファイバー/ガラス繊維15%,20%)入りPTFEの特性

項目 単位 ASTM測定法 純PTFE 充填材入りPTFE
充填材含量 重量% / なし グラスファイバー
15%
グラスファイバー
20%
比重 / D792 2.1 2.23 2.24
引張強さ MPa D638 30.9 23 20.6
伸び % D638 400 320 300




l

60min MD % D621
(23℃
/13.7MPa)
/ 6.6 8.4
CD / 10.3 11.7
24h MD 14.3 9.6 12.2
CD 16.7 14.3 15.3
永久変形
(24h後)
MD 7.9 5.3 6.1
CD 8.4 7.6 8.0
60min MD (150℃
/19.6MPa)
51.8 52.4 /
CD / / /
曲げ
強さ
0.2%
オフセット
CD MPa D790 5.6 3.9 5.9
弾性率 CD 340~620 1,520 1,010
圧縮
強さ
0.2% MD MPa D695 7.6 11.4 8.2
オフセット CD / 8.7 7.4
弾性率 MD 410 680 750
CD / 590 740
かたさ デュロメーター
"D"
D2240 55 60 64
衝撃強さ(izod) J/m D256 155 46 120
熱伝導率 W/(m・K) CenceFitch 0.24 0.37 0.17




25~90℃ MD 10~5/℃ D696 / 14.2 9.5
CD 12.2 10.6 10.2
25~150℃ MD / 15.1 9.9
CD 12.6 10.9 10.3
25~200℃ MD / 16.3 11.1
CD 13.7 12.3 11.4
25~260℃ MD / 18.5 13.2
CD 16.4 14.8 13.4
吸水率 % D570 0 0.015 0.014
限界PV値0.1m/s MPa・m/s / / 0.6 0.7
限界PV値0.5m/s / 0.7 0.9
限界PV値5.0m/s / 1.1 1.2
摩耗係数
(空気中、50h後)
cm・s/MPa・m・h
×10~5
松原式試験機
による測定
7,100 5 7
摩耗係数
(水中、50h後)
/ 5,500 /
動摩擦係数(50h後) / P=0.69MPa
V=0.5m/s
/ 0.39~0.42 0.29~0.35
静摩擦係数 / P=3.4MPa 0.05~0.08 0.10~0.13 0.10~0.13

グラスファイバー入りPTFEの特性一覧表

各種充てん材(グラスファイバー/ガラス繊維25%~グラスファイバー/ガラス繊維20%+グラファイト5%)入りPTFEの特性

項目 単位 ASTM測定法 充填材入りPTFE
充填材含量 重量% / グラスファイバー
25%
グラスファイバー20%
グラファイト5%
比重 / D792 2.26 2.23
引張強さ MPa D638 18.6 14.7
伸び % D638 280 235




l

60min MD % D621
(23℃
/13.7MPa)
5.2 5.8
CD 8.3 7.0
24h MD 7.9 8.0
CD 12.4 9.8
永久変形
(24h後)
MD 4.5 3.9
CD 7.5 5.2
60min MD (150℃
/19.6MPa)
50.7 36.8
CD / /
曲げ
強さ
0.2%
オフセット
CD MPa D790 4.1 8.1
弾性率 CD 1,860 1,510
圧縮
強さ
0.2% MD MPa D695 12.9 9.8
オフセット CD 8.7 9.9
弾性率 MD 810 960
CD 690 940
かたさ デュロメーター
"D"
D2240 63 64
衝撃強さ(izod) J/m D256 117 154
熱伝導率 W/(m・K) CenceFitch 0.45 0.20




25~90℃ MD 10~5/℃ D696 12.6 13.5
CD 8.3 9.0
25~150℃ MD 13.2 13.1
CD 8.6 9.0
25~200℃ MD 14.4 13.9
CD 9.7 9.9
25~260℃ MD 16.8 15.9
CD 11.9 11.7
吸水率 % D570 0.013 0.016
限界PV値0.1m/s MPa・m/s / 0.7 0.8
限界PV値0.5m/s 0.9 1.4
限界PV値5.0m/s 1.2 1.8
摩耗係数
(空気中、50h後)
cm・s/MPa・m・h
×10~5
松原式試験機
による測定
7 7
摩耗係数
(水中、50h後)
5,100 /
動摩擦係数(50h後) / P=0.69MPa
V=0.5m/s
0.50~0.54 0.30~0.32
静摩擦係数 / P=3.4MPa 0.10~0.13 0.08~0.10

各種充填材入りPTFEの特性一覧表

各種充てん材(グラスファイバー/ガラス繊維15%+MoS2/二硫化モリブデン5%~グラファイト15%~ブロンズ60%)入りPTFEの特性

項目 単位 ASTM測定法 充填材入りPTFE
充填材含量 重量% / グラスファイバー15%
MoS2/5%
グラファイト15% ブロンズ60%
比重 / D792 2.29 2.17 3.91
引張強さ MPa D638 18.1 15.7 18.1
伸び % D638 280 230 215




l

60min MD % D621
(23℃
/13.7MPa)
4.6 5.2 3.2
CD 5.4 5.8 3.5
24h MD 6.5 6.9 4.5
CD 7.8 8.0 4.9
永久変形
(24h後)
MD 3.0 3.3 2.0
CD 4.0 4.5 2.3
60min MD (150℃
/19.6MPa)
45.5 43.0 40.4
CD / / /
曲げ
強さ
0.2%
オフセット
CD MPa D790 8.3 5.9 7.8
弾性率 CD 1,660 / 1,350
圧縮
強さ
0.2% MD MPa D695 12.7 10.0 11.7
オフセット CD 12.5 10.5 12.0
弾性率 MD 760 / 760
CD 810 / 780
かたさ デュロメーター
"D"
D2240 65 61 70
衝撃強さ(izod) J/m D256 159 140 10.5
熱伝導率 W/(m・K) CenceFitch 0.33 0.45 0.47




25~90℃ MD 10~5/℃ D696 15.0 12.6 9.7
CD 6.3 7.9 7.8
25~150℃ MD 15.8 13.5 10.3
CD 6.4 8.5 7.9
25~200℃ MD 17.3 14.6 11.4
CD 6.9 9.2 9.0
25~260℃ MD 20.0 17.6 14.0
CD 8.0 10.8 10.4
吸水率 % D570 0.010 0 0
限界PV値0.1m/s MPa・m/s / 0.8 0.9 0.6
限界PV値0.5m/s 1.5 1.4 1.0
限界PV値5.0m/s 1.8 1.3 0.6
摩耗係数
(空気中、50h後)
cm・s/MPa・m・h
×10~5
松原式試験機
による測定
6 9.8 13
摩耗係数
(水中、50h後)
/ 470 /
動摩擦係数(50h後) / P=0.69MPa
V=0.5m/s
0.29~0.31 0.22~0.25 0.12~0.17
静摩擦係数 / P=3.4MPa 0.08~0.10 0.08~0.10 0.08~0.10

グラファイト・カーボンファイバー入りPTFEの特性一覧表

各種充てん材(グラファイト25%,33%~カーボンファイバー/炭素繊維10%)入りPTFEの特性

項目 単位 ASTM測定法 充填材入りPTFE
充填材含量 重量% / カーボン/グラ
ファイト25%
カーボン/グラ
ファイト33%
カーボン
ファイバー10%
比重 / D792 2.10 2.05 2.09
引張強さ MPa D638 17.2 13.2 19.6
伸び % D638 55 15 200




l

60min MD % D621
(23℃
/13.7MPa)
3.4 1.9 6.8
CD 3.6 2.6 9.0
24h MD 4.5 3.7 9.4
CD 4.9 3.7 13.2
永久変形
(24h後)
MD 2.0 1.7 5.1
CD 2.3 1.8 7.1
60min MD (150℃
/19.6MPa)
35.0 32.4 33.7
CD 36.1 35.6 38.7
曲げ
強さ
0.2%
オフセット
CD MPa D790 9.4 / 8.1
弾性率 CD 1,170 / 1,010
圧縮
強さ
0.2% MD MPa D695 11.0 / 8.5
オフセット CD 8.2 / 9.4
弾性率 MD 1,030 / 760
CD 820 / 760
かたさ デュロメーター
"D"
D2240 67 68 64
衝撃強さ(izod) J/m D256   / 168
熱伝導率 W/(m・K) CenceFitch 0.43 / 0.19




25~90℃ MD 10~5/℃ D696 8.5 / 13.4
CD 7.2 / 9.9
25~150℃ MD 9.4 / 14.5
CD 7.7 / 10.0
25~200℃ MD 10.6 / 15.7
CD 8.5 / 11.1
25~260℃ MD 13.5 / 18.2
CD 9.7 / 13.1
吸水率 % D570 / / /
限界PV値0.1m/s MPa・m/s / 1.0 1.0 0.9
限界PV値0.5m/s 1.4 1.5 1.5
限界PV値5.0m/s 1.8 1.9 1.8
摩耗係数
(空気中、50h後)
cm・s/MPa・m・h
×10~5
松原式試験機
による測定
8 13 6
摩耗係数
(水中、50h後)
20 26 20
動摩擦係数(50h後) / P=0.69MPa
V=0.5m/s
0.31~0.37 0.31~0.35 0.27~0.30
静摩擦係数 / P=3.4MPa / / /

テフロン、フッ素樹脂の非粘着性

テフロン(フッ素樹脂)PTFE,PFA,FEPは、他の樹脂に比べ接触角が非常に大きく、濡れにくい性質を持っています。つまり樹脂表面に接する物質が粘着したり、接着することはまずありません。液体に対する接触角が大きく、接着エネルギーが小さいほど非粘着性で良離型性とされています。

PTFE=ポリテトラフルオロエチレン(4フッ化)
FEP=テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(4.6フッ化)
PFA=テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体


各種素材とテフロン(フッ素樹脂)の比較

PTFE,PFA,FEPと各材料

材料の種類 水の接触角
(度)
水との接着エネルギー
(dyne/cm)
フッ素樹脂 PTFE 114 42~43
フッ素樹脂 PFA 109 42~43
フッ素樹脂 FEP 115 42~43
シリコーン樹脂 90~110 47.8~72.7
パラフィン 10.5~10.6 52.7~53.8
ポリエチレン 88 75.2
ポリアミド(ナイロン) 77 97.7
フェノール樹脂 60 109
9.6 144.2
アルミニウム 4.6 145

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