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Oリングの製造方法

ゴムOリングは、他のゴム製品と同様に様々な成形方法で製造されます。それぞれ長所と短所がありますので、コスト、性能、納期等の条件によってOリングの製造方法が使い分けられます。


ゴムOリングのおもな製造方法


Oリング/金型成形、プレス成形

もっとも一般的なOリングの成形方法です。上型と下型に分割された金型を使用し、熱加硫圧縮成形することで一体物のOリングを製造する方法です。

Oリングの形状の空隙部(キャビティー)に配合された未加硫ゴムを充てんし、加熱によりOリングの形状を成形することと架橋(加硫)を同時に行う方法です。金型成形には、いろいろな方法がありますが、ゴムOリングは圧縮成形がもっとも用いられる製造方法です。その他、射出成形などの方法で製造されることもあります。

Oリングの径、ゴム材質によって加硫プレス成形時間が異なりますが、フッ素ゴム、シリコーンゴムなどのように短時間で完全加硫しないものは、総時間短縮によるコスト管理のため、まず金型成形で、決められた適切な時間で切り上げた未完全加硫製品を成形(一次加硫)します。そして後でまとめて一次加硫製品を熱オーブンなどに入れて最適加硫製品にするために熱処理(2次加硫)します。一般に2次加硫が不要な材質でも、製品性能の安定のため、プレス加硫温度と時間の組み合わせによって必要になる場合もあります。

金型成形Oリング(圧縮成形)の概略はこちら

Oリング/金型成形、プレス成形の特徴

金型を使用して成形しているため、製品は金型の精度によって安定した品質になります。時間管理、寸法管理、コスト管理が容易なため、大量生産品に向いています。国内外の規格品Oリング、Oリングメーカー独自の規格品などのほとんどは、この成形方法で製造されています。


金型を必要とするために、金型の費用が発生しますので、金型費用が負担にならない程度以上の数量がなければ、かなりの高コスト製品になります。それでも寸法精度が必要な場合は、この製造方法で成形しなくてならない場合もあります。


金型成形で製造できるOリングの大きさは、プレス機に装着できる金型の大きさに左右されます。Oリングの径が300mm程度までが一般的ですが、プレス機によってはかなりの大きさのOリングが金型で製造できます。ただし、金型が大きくなるほど、金型費のコスト及びランニングコストも大きくなりますので、他の製造方法(送り焼きOリングなど)と比較検討する必要があります。


金型成形で製造されるOリングは、金型に彫られたOリング形状の隙間(キャビティー)の数量(金型の取り数)によって、製造できる数量、Oリングのコストに違いがあります。ターゲットプライス、使用量、生産日程などによって金型の取り数を決定します。取り数を多く取ると、1度に生産できるOリングが多くなり、コストダウン、生産時間短縮になりますが、金型製造費が高くなることや、材料仕込み方法などによって加硫精度や圧縮精度つまり製品精度にバラツキが生じる可能性もあります。


金型でOリングを成形しているために、製品には、金型の合せ目の部分にパーティングラインが付きます。処理の仕方がOリングの使用に影響を与えることもあります。特殊な用途でパーティングラインの位置を変えることもあります。


パーティングライン(Parting Line):型割り面あるいは金型の分割部分の線。ゴム成形品に跡がのこり、外観、製品性能を損ねる場合がある。バリがでる部分。



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送り焼き成形、継ぎ成形(送り焼きOリング、つなぎOリング)

大口径のOリングを製造する時によく用いられる製造方法です。一般的なゴム製品がプラスチックのように溶かして接着できないためにこの方法が用いられます。専用の金型を使用し連続加硫(つなぎ合わせて加硫、継ぎ加硫)する方法で、送り焼きOリング、つなぎOリング、継ぎOリングなどと呼ばれます。


両端だけを未加硫状態にできる専用金型や装置で、所定の径の丸紐形状に熱プレス圧縮成形します。そして未加硫状態の部分をずらして熱プレス(送り焼き)することによって加硫部分を決められた寸法の大きさにします。最後に残った両端の未加硫部分をつないで熱プレスし、1本の加硫Oリング製品を成形します。Oリングの大きさ、本数によって工程の順序を決定します。

送り焼き成形Oリングの概略はこちら

送り焼きOリング、つなぎOリングの特徴

専用金型にまわりきる長さ以上であればOリング内径の大きさは自由設定できますが、安定した品質で成形するためにOリングの内径は、ある程度の大きさ以上が必要です。


金型を使用し熱プレスしているため、つなぎ目がほとんど判別できず、一般の圧縮金型成形とほぼ同等の製品性能に仕上げることが可能です。


送り焼きOリングの寸法精度は、ずらして作る方法で成形されるため、一般の金型成形にくらべて精密な寸法で製造することが難しく、許容差を大きくする必要があります。また完全自動化が難しいため、製造者の習熟度に製品の精度が左右される可能性があります。


Oリングを成形するために、一般の金型成形より、プレス回数など工程が多くなります。その分、コストが高くなりますが、同じ材質、同じ線径(Oリングの太さ)で異なる内径のOリングを製造する場合、その都度、金型を作成する必要がなく、同じ金型を使用できるため、多品種小ロットの大口径Oリング製品などを製造する場合に最適な製造方法です。送り焼きOリング製造業者が、市場で使用されるOリングの径をラインナップ化しているため、専用金型を作成する負担がなく、トータルコストで汎用の金型成形より大幅に安価になります。また、金型作成期間が必要でないため、比較的短納期の対応が可能です。

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押し出し丸紐接着加工Oリング、押し出し丸紐加硫接着加工

押し出し成形された断面が丸であるゴム紐の既製品を利用して、汎用の接着剤でつなげる方法です。接着断面形状を工夫することもあります。接着剤は、瞬間接着剤や専用の接着剤を使用します。また、半加硫状態で押し出し成形された丸紐を、特殊な接着剤を用いたり未加硫ゴムをつなぎとしてOリング形状に接着させ、蒸気プレスなどで加硫する方法です。大口径Oリングなどで接着部分だけを加硫成形する場合もあります。

加硫接着Oリング、焼き継ぎOリングと呼ばれることもありますが、送り焼きOリングもその表現を使用されることも多く、区別することが必要です。


押出丸紐(製品)をエンドレス状に接着加工の概略はこちら 押出丸紐(半生)をエンドレス状に接着加工の概略はこちら

押し出し丸紐接着加工Oリング(既製丸紐利用)の特徴

既製品の丸紐に必要なOリングの線径があれば、接着剤ですぐにOリングを作成することが出来ます。既製品の押し出し紐を利用しているため、価格も安価です。さほど技術を必要としないため、どこでも、だれでも手軽に作成が可能ですが、他の製法のOリングに比べて、Oリングの信頼性に乏しいため、金型成形Oリングの納期的な事情によって間に合わせとして使用される程度であり、応急措置的な対応などに使用が限られます。


押し出し丸紐接着加工Oリングの信頼性は、接着部分に大きく左右されます。それは、人為的なものと使用される接着剤の特性が関わります。人為的なものとしては、接着断面の形状、接着剤の塗布などの処理方法が一様でないことが挙げられ、接着剤の特性としては、瞬間接着剤などが、引っ張り強度はあってもせん断強度が乏しいことや、接着剤の硬度がゴムの硬度と違うために、圧力がかかるとはがれやすいことが挙げられます。


押し出し成形の丸紐を使用しているので、Oリングにはパーティングラインはありません。ただし接着箇所は判別が可能になります。また、圧縮金型成形でないため、Oリングの線径(太さ)の寸法精度はあまりよくありません。


押し出し丸紐加硫接着Oリングの特徴

部分的でもゴムの加硫を利用しているため、既製の丸紐を瞬間接着剤などでつなげたOリングより信頼性はあります。接着箇所は判別が可能です。


金型を必要としないために、大口径のOリングを製造する場合や、送り焼きで製造不可能な小さな内径のOリングを製造する場合に用いられる製造方法です。持ち運び可能な専用の成形機などで現地施工をすることもできます。送り焼きOリングより製造本数が多く、金型費用の負担は避けたい場合などにこの製造方法を用いることがあります。


一般の金型成形Oリングや送り焼きOリングと比べて、製品強度は乏しく、寸法精度もあまり期待できないため使用は限定的です。既製丸紐を使用する場合と同様、Oリングの破損が重大な問題になる箇所で使用することは避けられます。


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機械加工ゴムOリング、機械加工樹脂Oリング

既製のゴムシート、ゴムブロック、ゴムチューブを利用し、切削加工で所定のOリング形状にする加工方法です。
同様に、ほとんどの樹脂製Oリング、プラスチック製Oリングは、素材パイプ、素材ブロック(丸棒など)から切削加工で製造されます。

機械加工Oリングの概略はこちら

金型を必要とせず、接着箇所のない一体のOリングが加工できます。一般的には非常に高くつく製造方法ですが、特殊な専用の機械によって、安価に作成する方法もあります。


機械加工なので、1本からでも製作が可能です。数量が少なく接着品を使用できない場合の緊急対応に適している製品です。


機械加工ゴムOリングの寸法精度は、ラフなものから、金型で成形するより精密なものまであります。あらゆる環境、設備によって精度の違いがもっとも大きい製品のひとつです。
金型成形されたOリングを、さらに機械加工することによって寸法精度を上げたり、パーティングラインがないOリングを製造することもあります。


機械加工Oリングの物性は、加工用素材の物性そのままなので、用途に適合する素材が無い場合は、要求される仕様のOリングを製造できない可能性があります。

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ゴムOリングのおもな製造方法比較表

製造方法 製品
信頼性
寸法
精度

コスト 納期 適用
金型成形 × × Oリングの製造方法で、最も一般的な方法。
金型を必要とするため、製造可能なOリング
の大きさはプレス機に入る金型の大きさに
左右されます。比較的量産向けの製造方法。
○~◎
送り焼き成形 △~◎ 大口径のOリングを成形するときに よく用い
られる方法です。一般的に製造者側が様々
な Oリングの線径(太さ)に対応できるよう に
各種金型を揃えているため、殆どの場合、
金型代は発生しません。製造方法から、一部
を除き、内径250~500mm以下のOリングは
対応ができません。小ロットに向いた製造方法。
△~○ △~○
押出丸紐(製品)を
エンドレス状に接着
×~△ △~○ Oリングの製造方法では、一番簡単な方法。
但し、接着剤を使用し継ぎ目もあることから、
製品の信頼性はあまりありません。また、
ゴムの材質によっては、接着が困難なものも
あります。接合部分の形状を工夫することに
よって接着性能を高めたものもありますが、
主に応急措置的なOリングの製造方法。
○~◎ ○~◎
押出丸紐(半生)を
エンドレス状に接着
△~○ Oリングの製造方法で、送り焼き成形と押出
丸紐(製品)の接着による製作方法との
中間的な存在です。継ぎ目があります。
△~◎
機械加工
ゴムチューブや
ゴムシートから
×~◎ ×~◎ ○~◎ バリが出てはならないような特殊用途向け、
特殊サイズの試作品、緊急対応品等
金型成形によるデメリットを解決するため
の製造方法。基本的に既製のゴム素材から
加工されます。製造者によって加工精度に
ばらつきがあります。金型成形されたOリング
を要求される仕様に加工することもあります。
×~△

注意!上記の表は、あくまで目安であって、すべての場合に当てはまる訳ではありません。

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