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ゴム製品の寸法公差、寸法精度

ゴム製品の寸法公差

ゴムを含めあらゆる素材の機械加工品や成形品は、図面等で指示される寸法とまったく同じ寸法のものを作ることはできないため、指示寸法と実際に作られた製品の寸法との間に誤差が生じます。一般に、この誤差は使用上問題ない範囲、つまり許容差として製品ごとに決められています。許容される誤差の最大寸法と最小寸法との差のことを寸法公差といい、製品機能上必要な精度、製造上のバラつき、形状、大きさ、コスト等、様々な観点から決定されます。

実際は、国内の規格で全体を網羅した統一的なゴムの寸法公差表のようなものがないため、参考になる海外の規格などが適用されることがあります。例えば、工業用ゴム製品寸法公差表(ドイツ技術者協会:VDI-2005)は、よく参考に適用されることが多い規格です。

また金属の切削加工などによく適用されている寸法公差規格JIS B 0405(普通公差:個々に公差の指示がない長さ寸法及び角度寸法に対する公差)が金属以外にも適用可能としているためゴムの寸法公差として適用される場合もあります。しかし金属とゴムとの性質の違いが大きく、等級やゴム製品の形状、製造方法によっては実現が不可能な公差もあり、そのまま適用するのは注意が必要です。

その他、ユーザーのゴム製品に対する要求寸法精度からの自社寸法公差規格、ゴム製品製造メーカーのゴム製造技術による高度化された寸法精度からの自社寸法公差規格、ゴム製品の製造者側およびユーザー側の長年の経験から得られる経験値などが製品に適用されています。

このようにゴム製品の寸法公差に関しては、根拠となる基準があいまいになりやすく、だからそれがゴム製品でありノウハウだと言えなくもないですが、ゴム製品の統一的な公差の規格があってもよいのかもしれません。


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ゴム製品の寸法精度

近年の工業製品の精密化、あるいは品質管理の高度化によって様々な製品の寸法精度の高精度化がユーザーに要求されており、ゴム製品も例外ではありません。金属製品並みの加工精度を要求されるゴム製品もあってゴムの加工技術、成形技術は日々進歩しています。しかしながら技術向上のために高精度を求めることも必要かもしれませんが、ゴム製品の使用目的、ゴムの性質上及びコスト面等で、必要以上の高精度を求めることに意味があるのかという疑問もあります。

多くのゴム製品がゴム特有の伸縮や弾力性といった柔軟性を使用目的に利用しているのであれば、それらの寸法精度もある程度は柔軟にするべきであり、そのために製品にゴムを使用していると考えることもできます。

また、金型を使用するゴム成形の場合、金型にも寸法公差がありますので、製品寸法に金属並みの公差を要求することは一部を除き過剰品質で現実的でないことがほとんどです。ゴムは金属に比べて、寸法のバラつきが出やすく、そのバラつきは、配合物(揮発の有無など)、温度(熱膨張など)、形状(製品厚さ)、成形変化(ゴムの成形収縮率)、経時変化(硬化、軟化、劣化、保管時の形状変化など)によるものなど様々な原因があるため、金型から成形されるゴム製品の指示寸法には、その金型の寸法公差より大きな寸法公差(製品にもよりますが3倍程度)が必要になります。ゴム成形品は必要に応じて寸法精度を高めるために2次加工(研磨加工等)されることもあります。

このようにゴム製品は金属などに比べてバラつきが多く、高精度な寸法の製品を製造することは簡単なことではありません。ゴム自体のバラつきだけでなく、金型のバラつき(合わせ面、バリ、キャビティごと)も考慮しなければなりません。さらに、まったく同じ配合材料、成形条件であっても、ゴムの分子の方向性、ゴム材料のエイジング時間の違いだけでも寸法精度が変わってくることもあり、高度な寸法精度を必要とする精密なゴム成形製品の場合は、成形工場の違いによるバラつきまでも考慮する必要があります。


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ゴムパッキンやOリングの寸法公差

国内でよく使用されるゴム製品で製造メーカーのいわゆるカタログ品、例えば油圧空圧用のシールパッキンなどは、製造メーカー各社が独自に決定しているものが多く、その寸法公差を公表することは、あまりありません。

ゴムOリングはJIS規格(JIS B2401)などで寸法と寸法公差が決められていますが、特にJIS B 2401の寸法公差が、比較的緩やかなため、Oリングに高精度の寸法が求められる場合には、独自にJIS規格より厳しい寸法公差を付けることもあります。

また、Oリングを含むシールパッキンなど高度な寸法精度が必要とされる場合に、ISO規格(ISO 3302-1:1996 - Rubber -- Tolerances for products -- Part 1: Dimensional tolerances)を参考にすることもありますが、それ以上の超高精度を求められるシール製品は、金属公差並みの精度を要求されることもあり、これらの場合、検査方法、検査機器も高精度でなければなりません。

このようにOリングやパッキンで、特に運動用として使用される場合は、寸法精度が、シール性能に大きく影響することから、製造メーカーとユーザーとの間で、協議しながら寸法公差を決定することがよくあります。

一方、その製造方法上、寸法公差を狭くとれないものもあります。例えば、大口径のOリングやシールパッキンを製造する方法として、送り焼き成形(継ぎ成形)がありますが、この方法は、どうしても成形工程上、長さにバラつきが生じやすく、比較的広い寸法公差(材質にもよりますが、長さに対して約3%程度)が採用されています。



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